舌下免疫療法
舌下免疫療法

舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質を少量ずつ体に取り入れ、少しずつ慣れさせることで、アレルギー体質の改善を目指す治療です。一般的なアレルギーのお薬は、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状を抑える「対症療法」です。
一方、舌下免疫療法は、アレルギー反応そのものを起こしにくくすることを目指す治療で、長期的な症状の改善が期待できます。この舌下免疫療法は、体質を徐々に変えていき、スギ花粉・ダニ抗原に反応しにくくする、いわゆる「根治療法」とお考えください。
日本では、スギ花粉症に対する舌下免疫療法が2014年から、ダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対する治療が2015年から保険適用となりました。現在、保険診療で行える舌下免疫療法は、スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎です。治療対象は5歳以上です。治療薬を舌の下に置いて服用するため、注射による免疫療法に比べて痛みがなく、ご自宅で継続しやすい治療です。
診断には、症状の経過に加えて、血液検査による特異的IgE抗体検査などを組み合わせて判断します。「検査で陽性」だけではなく、実際の症状と原因アレルゲンが一致しているかを確認することが大切です。
アレルギー性鼻炎は、単なる鼻の病気ではありません。鼻づまりによる睡眠の質の低下、集中力の低下、口呼吸、いびき、日中の眠気、学習への影響などにつながることがあります。
また、アレルギー性鼻炎と気管支喘息は関連が深いことが知られています。アレルギー性鼻炎のある方の約25%に喘息を合併し、喘息のある方の約70%にアレルギー性鼻炎を合併するとされています。鼻の症状を適切に治療することは、咳や喘息症状のコントロールにも重要です。当院では、鼻炎だけでなく、喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの合併も含めて、アレルギー専門医が総合的に診療します。
舌下免疫療法は、1日1回、治療薬を舌の下に置いて服用します。初回投与は、まれに副作用が出る可能性があるため、院内で医師の管理下で行います。服用後は院内でしばらく様子を確認し、問題がなければ翌日からご自宅で継続していただきます。
服用後5分間は、飲食やうがいを控えます。また、服用前後2時間程度は、激しい運動、入浴、飲酒を避けることが推奨されます。お子さまの場合は、運動や入浴の前後を避け、毎日続けやすい時間帯を決めて服用することが大切です。通院は、基本的に1〜2か月に1回程度です。副作用の有無、服用状況、症状の変化を確認しながら治療を続けます。
ダニアレルギー性鼻炎は、基本的に季節を問わず治療を開始できます。スギ花粉症の場合は、スギ花粉が飛散している時期には新たに治療を開始できません。通常は、花粉飛散が落ち着いた6月以降に開始します。6月1日
スギ花粉とダニの両方にアレルギーがある場合、両方の治療を行うことは可能ですが、同時に開始することはできません。まず一方を開始し、症状や副作用が安定してから、もう一方を追加します。
舌下免疫療法は、すぐに効果が出る治療ではありません。一般的に、3〜5年間の継続が推奨されています。スギ花粉症では、治療を開始して初めて迎える花粉シーズンから効果が期待されます。ダニアレルギー性鼻炎では、治療開始から数か月後より症状の改善が期待されます。年単位で継続することで、より安定した効果が得られや
期待できる効果は次の通りです。
ただし、すべての方に同じ効果が出るわけではありません。効果が不十分な場合でも、症状が軽くなり、薬の量を減らせることがあります。
※A:ここでいう「効果」とは、
「根治」(約20%):スギ花粉症の時期に、内服薬や点鼻薬が必要なくなる、
「軽快」(約60%):スギ花粉症の時期に、症状が軽減され内服
舌下免疫療法では、重い副作用はまれですが、治療開始初期に口の中やのどの違和感が出ることがあります。
主な副作用は次の通りです。
多くは一時的で自然に軽快しますが、症状が強い場合や長引く場合はご相談ください。息苦しさ、全身のじんましん、強い腹痛、嘔吐、顔色不良などがみられる場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、速やかな対応が必要です。
次のような方は、治療を開始できない、または慎重な判断が必要です。
安全に治療を行うため、開始前に現在の症状、内服薬、喘息の状態、既往歴を確認します。
舌下免疫療法は、長期間続けることで効果が期待できる治療です。そのため、治療を始める前に「本当に原因がスギまたはダニなのか」「お子さまが毎日継続できるか」「喘息などの合併症が安定しているか」を丁寧に確認します。
当院では、小児科専門医・アレルギー専門医として、お子さまの年齢、症状、生活スタイル、学校生活への影響をふまえ、無理なく安全に続けられる治療計画をご提案します。「毎年花粉症がつらい」「鼻づまりで眠りが浅い」「薬を減らしたい」「将来のために体質改善を考えたい」という方は、お気軽にご相談ください。
